藤平、寺島と並び大会屈指の好投手と評される高橋昂也を擁する花咲徳栄(埼玉)は、3回戦で作新学院と対戦。花咲徳栄はこの試合、1、2回戦で好投した高橋を温存し、2年生の綱脇慧を先発させたが、2回に5失点。これが最後まで響き、2-6で敗れた。

 結果論だが、横浜も履正社も花咲徳栄も、プロ注目のエースを温存させ、序盤の失点を返すことができずに甲子園を去ることになった。次の試合を考えての起用であったり、その日の調子や他投手への信頼など、各校それぞれ戦略は違うにせよ、優勝候補と目された3校が同じような負け方をしたのには驚かされた。

 また、東邦(愛知)と八戸学院光星(青森)の一戦(2回戦)では、9回裏にドラマがあった。4点を追う東邦が集中打で一挙5点を奪い、大逆転サヨナラ勝ち。止まらない攻撃に場内も盛り上がり、八戸学院光星のアルプス以外はほぼ東邦を応援するような大歓声。何とも言えない異様な雰囲気だった。

 今年も多くのドラマが生まれた甲子園だが、そんな今大会を締めくくるのは作新学院と北海による決勝。作新学院では最速150キロ超えの本格派右腕、今井達也に注目だ。また、打線もチーム打率が3割4分6厘と好調で、ここまで勝ち上がってきた勢いそのままに54年ぶりの優勝を目指す。一方、南北海道代表としては、田中将大(現・ヤンキース)を擁した2006年の駒大苫小牧以来10年ぶりに決勝に進出した北海は、エースで主将の大西健斗が大黒柱。ここまで4試合をすべて一人で投げ切っており、疲労が気になるところだが、全試合で2桁安打を記録している打線が援護したい。(文・嶋中貴史)