メダルを逃した白井健三(c)朝日新聞社
メダルを逃した白井健三(c)朝日新聞社

 やはり五輪には魔物がいるのか――。白井健三の金メダル獲得が確実視されていた、リオ五輪の体操・種目別ゆかで、大番狂わせが起こった。日本からは内村航平と白井が出場していたが、いずれもメダルの獲得がならなかったのだ。ロンドン五輪では団体銀メダルに終わったことなどについて「五輪には魔物がいる」などと話していた内村だったが、リオでは白井が「魔物」の存在を感じたようだ。

 予選の上位8名が演技をする種目別決勝のゆか。日本からは予選を2位で通過した白井と、先日個人総合で金メダルを獲得したばかりの内村が進出していた。

 最初の演技者は内村だったが、個人総合の鉄棒の演技中に痛めた腰が影響したのか、演技は精彩を欠くものだった。

 演技冒頭のタンブリングで、両足が場外に出るという内村らしからぬミス。0.3点の減点をされてしまう。その後は大きなミスなくまとめるも、冒頭の場外が響き得点は15.241点。スペシャリストが集う種目別決勝では15点半ばでの争いが予想されるだけに、この時点でメダル争いはかなり厳しい状況となった。

 この後に続く地元・ブラジルのジエゴ・イポリトやアルトゥール・オヤカワ・マリアーノが内村を超える15点台半ばの得点を出し、さらにはイギリスのマックス・ウィットロックが15.633点の高得点をマーク。この時点で内村のメダルは消えた。

 7番目の演技者となった白井は、ノーミスなら16点台にも乗る、難度の高い演技構成を持っている。世界選手権で種目別ゆかを制しているだけに、金メダル候補の筆頭と目されていたが、その白井がここで大きく崩れる。

 冒頭のひねり技こそ着地をまとめるが、自身の名を冠する技「シライ2」での着地がかなり低くなり、大きく乱れる。続くタンブリングでも大きく前に2歩、ラストのシライ/グエンも後ろに1歩動き、終始ミスの目立つ演技だった。得点は15.366点。演技後には周囲に向かって謝るように手を合わせるしぐさをみせた。

 終わってみれば、白井は4位、内村は5位。金メダルはウィットロックが獲得した。銀メダルはイポリト、銅メダルはマリアーノと、精度の高い演技を披露したブラジル勢が表彰台に上った。

 演技後のインタビューに答えた白井は、悔しさからか目を潤ませ、次のように話した。

次のページ