レース後、小関は悔しさに唇をかみしめながらこう話した。小関だけではなく、萩野公介や瀬戸大也、坂井聖人といった男子のメダリストたちの目は、すでに4年後の東京五輪を向いている。日本の強いメドレーリレー復権のためにも、4年後の東京五輪に向けた課題にあげるとすれば、100m種目でメダルを獲得できるような選手の育成が急務だ。萩野、瀬戸、坂井は200m以上の種目を得意としている。自由形だけではなく、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの各種目の100mで世界と勝負できる選手を育て上げるという、日本代表チームが早急に克服しなければならない課題が浮き彫りになった。

 有終の美とはいかなかった。だが、北島以来となる、『狙って』取った萩野の金メダル、そして苦労を積み重ねた末につかみ取った、金藤理絵の努力の金メダル。初の五輪ながらメダルを獲得した瀬戸と坂井。病を乗り越えて、女子選手史上3人目となる2大会連続の銅メダルに輝いた星奈津美と、計7個のメダルを獲得した。メダル数はロンドン五輪(11個)よりも落ち込んだが、ロンドン五輪では成されなかった『センターポールに日の丸を』のスローガンを2人も達成してくれたことは、大きな前進だ。

 時間は、無情にも流れていく。いつまでも過去を振り返ってはいられない。少しの休息を挟み、また世界を沸かせるようなレースを選手たちにはみせてもらいたい。(文・田坂友暁)