知っておきたいお墓のあれこれ(※イメージ写真)
知っておきたいお墓のあれこれ(※イメージ写真)

 知っているようで知らないお墓のあれこれ。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)に掲載されたQ&Aを一挙公開。監修は葬祭カウンセラーの二村祐輔さんです。

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【Q1】「夫の実家の墓に入りたくない」と妻が言い出した
【A1】夫婦の墓を建てることはできるが、継承者にも相談を

 先祖代々の墓とは別に、夫婦の墓を建てることは自由にできます。その場合、夫婦の墓を誰が継承するのかをよく考えなければいけません。継承者が子どもになるなら、供養しやすい場所や形態について子どもの意見を聞く必要があります。

 また、夫の実家の先祖代々の墓を誰が継承するかも決めなければいけません。自分たちの子どもが先祖代々の墓も継承すると決まっているなら問題ありません。しかし、もし継承者がいない場合は、寺院や僧侶などに相談し、永代供養してもらうなど何らかの方法を検討することが必要です。

【Q2】自分と親の宗教が違っても同じ墓に入れる?
【A2】宗旨宗派不問の墓地や寺院なら可能です

 宗旨宗派を問わない民間霊園、公営墓地であれば、同じ墓に入ることができます。近年は宗旨宗派を問わない寺院もあるので、まずは菩提寺に相談しましょう。親が寺院墓地に埋葬されている場合、子どもも檀家になることを求められることがあります。宗旨宗派を問わない寺院の場合は改宗の必要はありませんが、法要など供養はその宗派にのっとっておこなわれます。

 改宗しないで親と一緒の寺院墓地の墓に入りたいと希望する場合、宗旨宗派を問わない民間霊園や公営墓地などへの改葬を検討することになるかもしれませんが、その際も菩提寺に相談してください。

【Q3】墓を継承する子孫がいない。無縁墓になるのが心配だ
【A3】管理費などの前払い、永代供養墓なども検討してみては

 墓は基本的に、毎年の供養・管理費(あるいは護持会費)が支払われている間は維持されます。管理費などを生前に自分自身で前払いできる墓や、家族や継承者がいなくても墓所の管理者が供養と管理を続けてくれる永代供養墓(合葬墓)などもあります。永代供養墓は、個人でも夫婦でも入ることができます。これらの墓を検討するのも一考でしょう。

 墓を継承する人や供養する人がいなくなって放置された無縁墓は、いずれは墓石を撤去して合葬するなどの手続きがされます。すでに寺院墓地に墓があり、菩提寺に永代供養を申し出る場合は、「墓を継承する子どもや親類もおらず、この墓を守っていけなくなりそうです。ご住職に永代供養をお願いしたいのですが、今から自分たちでできることはあるでしょうか?」というように、事情を伝えて相談するとよいでしょう。

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より

日本葬祭アカデミー教務研究室代表・葬祭カウンセラー 二村祐輔さん
ふたむら・ゆうすけ/葬儀コンサルティング、講演活動などを展開。テレビでも活躍。葬儀社に約18年間勤務し、2000件以上の葬儀にかかわる。『60歳からのエンディングノート入門 わたしの葬儀・法要・相続』(東京堂出版)など著書多数