萩野とともに400m個人メドレーでメダルを獲得した瀬戸大也は、早稲田大学の後輩である坂井聖人とともに200mバタフライで順当に決勝進出を決めたが、記録がピリッとしない。瀬戸は「思ったよりもトータルタイムが遅かった。あれ? って感じです。感覚と泳ぎにズレがある」と、首をかしげた。

 日本代表チームに漂う悪い流れを払拭するカギは、萩野がレース後に口にした『自分の力を出し切る』という言葉に隠されている。

 メダル獲得に向けた作戦を考えることは、もちろん大切だ。しかし、それよりも大切なのは、自分のすべてを出し切ること。悪いところを補うようなレースをするよりも、自分の持ち味は何なのか、良いところはどこなのかをもう一度思い出してほしい。五輪という最高峰の舞台に向けて積んできたトレーニングを信じ、自分が最も得意とする泳ぎ方やレース展開で勝負すること。それが、結果として実を結ぶのではないだろうか。

 明日は瀬戸、坂井の男子200mバタフライ決勝に加え、女子200mバタフライにロシア・カザン世界水泳選手権金メダリストの星奈津美と、好調の長谷川涼香が登場。さらに男子200m平泳ぎには小関也朱篤と渡辺一平が出場する。大ベテラン松田丈志が率いる男子4×200mリレーもある。漂い始めた悪い雰囲気を払拭する、自信に満ちあふれた目の覚めるようなレースを期待したい。(文・田坂友暁)