ナイジェリア戦は序盤の失点でバタバタしたまま90分を終えた日本だったが、コロンビア戦は自分たちで試合をコントロールする時間をつくることができた。前線からの守備に加えて、球際での激しさでコロンビアと互角以上に渡り合った。それでも喉から手が出るほど欲しい先制点を、日本はなかなか奪うことができない。指揮官は落ち込むことなく、「世界で戦ったことのない監督と選手で2点を取られ、そこから勝ち点1をもぎ取れた。いよいよ次は勝つ番かな。他力本願は否めないが、それが俺たちの立場」といま置かれている状況を楽しんでもいるようだ。

 この余裕が、選手に安心感を与え、潜在能力を引き出しているのだろう。日本が準々決勝に進むには、スウェーデンに勝って、コロンビアがナイジェリアに引き分けるか負けた場合しかない。すでに準々決勝進出を決めているナイジェリアがメンバーを落としてくることも想定される。しかしながら、このチームには、サッカーの常識を超えた反骨心のようなものを感じてしまう。“谷間”から抜け出そうともがき苦しんでいるとも言えるだろう。抜け出せるかどうか。すべては10日(現地時間)の結果次第である。

(現地取材=サッカージャーナリスト・六川亨)