後半も最初にビッグチャンスをつかんだのは日本だった。1分、パスカットに成功した浅野がドリブルで持ち込み、強烈な左足シュートを見舞う。しかし、これはクロスバーに嫌われた。さらに、3分後にはGKが弾いたボールに井手口が詰めたが、これもGKにブロックされる。

 今大会の日本を象徴するように先制点がとてつもなく遠い。すると後半14分、ワンツーで抜け出たグティエレスに先制点を叩き込まれてしまう。GK中村はシュートに反応していたが、DFの足に当たってコースが変わる不運も重なった。

 後半20分、ボルハのシュートはGK中村が弾いたものの、こぼれ球をクリアしようとした藤春が芝生に足を取られ、自陣に蹴り込みOG(オウンゴール)から2点目を献上してしまう。藤春は試合後、「ほんと、覚えてないくらいの感じで。クリアしようとしたら、足が止まらなかったですけど……。まだ望みはあるので、この借りを返せるプレーができればいいですけど」と涙ながらに言葉を絞り出していた。

 結果論ではあるが、藤春のOGがなければ勝てたかもしれない。だが、藤春のOGがなければ日本の2点目も生まれていなかったかもしれない。それがサッカーの難しいところだ。

 2点のビハインドで、さすがにここで力尽きるのかと思われたが、ここから反発するのがこのチームの持つ“不思議な底力”でもある。

 失点から2分後、交代出場の大島のタテパスをゴール中央で受けた南野が短く左に逸らすと浅野がフリーで抜け出し左足で豪快に決める。さらに後半29分。左からカットインした中島が得意の右足を振り抜くとGKの頭上を破って、あっという間に同点に追いつく。アディショナルタイムには浅野が快足を飛ばしGKと1対1のチャンスを迎えたが、これはGKの好セーブにはばまれ、勝ち越し点を奪うことはできなかった。

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