2つの矛盾するデータがある。広島は今季、2位巨人に10ゲーム差をつけてオールスター戦前の前半戦を終了した。2位に10ゲーム差以上をつけた首位ターンは、03年の阪神まで過去8度あり、今季の広島がのべ9チーム目。過去8チームはすべて優勝しており、優勝確率は100%だ。これだけなら、広島ファンは安心できるだろう。

 もう1つのデータは、逆転優勝について。これまで、首位から11ゲーム以上をつけられた球団が、逆転優勝を果たしたケースは08年の巨人まで過去4度ある。しかも、そのうち2度が巨人。前回は08年に最大13ゲーム差をつけられた阪神をとらえたものだったが、その前の96年は最大11.5ゲーム差をつけられた広島をまくっている。この年は巨人長嶋茂雄監督が「メークドラマ」という流行語を生んだシーズン。広島は最後に優勝したのが91年だけに、古くからのファンにとっては、どうしても心配がぬぐい去れない原因なった年だろう。

 勝敗表を見てみると、広島は104試合で60勝42敗2分け、巨人は100試合で52勝45敗3分け。広島の方が試合消化が4試合早く、負け数の差は3しかない。5.5ゲーム差はついているが、実質的にはもう少し接戦となっていると考えるべきだ。しかも、オールスター後は巨人が12勝4敗、広島は8勝9敗。勢いは巨人にあるが、広島は最悪の3タテを免れた。この3連戦が、最後にどう影響するのか。興味は尽きない。

(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)