女子の方では、先のウィンブルドンでベスト16に入った土居美咲に期待が集まる。本人も「オリンピックに出ることを、昨年から常に頭のどこかで意識してきた」と言う程にモチベーションは高い。初戦の相手は、ダブルス巧者としても知られるヤロスラワ・シュベドワ。現時点でのランキングでは土居が上だが、数字以上のポテンシャルを秘めた相手なだけに、過剰に勝利を意識することなく全力で向かっていけるだろう。ただ不安材料は、現地での調整や練習時間の不足。なぜなら土居は、直近の参戦大会開催地であったモントリオールからリオに到るまで、飛行機の遅れによる乗り継ぎ失敗などのために、なんと4日間も要してしまったのだ。もっとも、このようなトラブルに遭遇したのは、モントリオールから移動してきた他の選手たちも同様。如何に迅速に現地の環境に対応できるかが鍵となりそうだ。

 そのような適応という点では、五輪直前までブラジルのフロリアーノポリスで試合をしていた日比野菜緒には、一日の長があるかもしれない。ただ初戦の相手は、そのフロリアーノポリス大会で破れたイリーナカメリア・ベグ。日比野に調整面でのアドバンテージはさほどないが、この直近の対戦経験を生かし、悲願のオリンピック初勝利を手にしたいところだ。

 テニス選手たちにとって、長くタフなツアーの最中に真夏の花火のように開く熱き9日間の戦いは、8月6日に火ぶたが切って落とされる。

(文・内田暁)