夏真っ盛りのこの時期。「七五三」と聞いても、まだまだ先のイベントだと感じる人も多いだろう。しかし最近では、七五三の記念撮影を5月~8月までに済ませてしまう“早撮り”が人気で、今からではもう遅いという声すらあるのだ。
いまや記念撮影は、七五三最大のイベントとして注目されている。それに伴い、写真館も個性的なレンタル衣装をそろえるだけでなく、ロケーションや演出にこだわった撮影が増えてきた。キッズファッション誌「sesame(セサミ)」9月号の七五三特集では、写真館で人気のレンタル衣装を取り上げている。編集部に、最新のトレンドを教えてもらった。
今年話題になっているのが、京都丸紅がフィギュアスケーターの高橋大輔さんとコラボレーションした七五三衣装だ。「世界に羽ばたこうと頑張る子供たちを応援する」をテーマに、高橋さんのスケーティングや人柄をイメージしてデザインしたという。この衣装は一般販売しておらず、写真館や貸衣装店のみで展開されている。いま、京都丸紅の七五三のブランド着物のほとんどはレンタルのみで流通しているのだという。
「レンタルが主流になったことで、衣装を2着以上借りて撮影することが普通になりました。編集部のリサーチでは、撮影衣装の平均着用数は、3歳が1.8枚、5歳が2枚、7歳では2.9枚でした。1着は着物がマストですが、もう1着にドレスを選ぶことも多いです。写真館でレンタルできる気軽さもあり、より大胆な着物も増えました」(「sesame」編集部)
今年人気の色柄は、3歳は赤やピンク系が人気で、被布(ひふ/着物の上に羽織る上着の一種)スタイルが多く見られる。5歳の羽織はかまスタイルは、ブルーやグリーン系で、タカやかぶとなどの古典柄のほか幾何学柄も目立つ。7歳は赤やピンクの定番色のほか、水色や紫などの寒色系も人気だ。古典柄、モダン柄ともに、花モチーフが主流になっている。レンタル着物の料金(7歳用、コーディネート一式)は安くて4万円ほどからだが、老舗百貨店の着物となると、レンタルで30万円ほどはかかるケースもある。費用は祖父母が出す場合が多く、ランドセルの購入と分担するなど、家族ごとに工夫しているようだ。
記念写真のブームにのって、質の高い着物を借りたいというニーズも増えている。現代着物にはない色柄や質感が魅力のアンティーク着物は、特に人気が高い。また、ツキオカ写真館(群馬県)が展開するオリジナルブランドなどは、写真を見てもわかるようにかなり個性的だ。ローズガーデンや古民家など、ロケ撮影も充実しており、写真館独自のシチュエーション演出で、独特の世界観をより際立たせている。
「今どきの七五三記念写真は、本当にいろいろな衣装や演出を選べて、子どもが『なりたい自分』になることができます。衣装だけでなく、ヘアメークの好みもありますし、子どもを乗せるのがうまいカメラマンがいるかなど、写真館選びが重要になっています」(同)
撮影にこだわると、1日でも時間が足りないほどだ。逆に、数え年で祝うのか満年齢で祝うのか、11月15日に参拝するかしないかといった、昔ながらの七五三へのこだわりは薄れている。記念撮影は余裕を持ってできるように、参拝などとは別の日に行う例が増えてきた。親子ともにイベントを楽しめるように、どんな自分になりたいかを話し合って、すてきな1枚を残してほしい。