ドルトムントファンの一部、特に熱狂的な「ウルトラス」たちは今もゲッツェに激しい憎悪を向けている。しかし、クラブ側としてはこれ以上ウルトラスによるトラブルはごめんだ。そうでなくとも昨季色々と暴れてくれたおかげで、ドイツサッカー連盟からお叱りを受け、執行猶予の身である。南スタンドの一部封鎖という処分を避けるには、2017年5月31日まで彼らを大人しくさせなくてはならない。選手目がけて飲料容器を投げたり、ユニフォームを燃やしたり──ゲッツェの加入でまたそんなことが起こっては困る。

 そこでキーマンとなるのが、ゲッツェの大親友、ヴォルフスブルクのドイツ代表FWアンドレ・シュールレだ。ドルトムントは彼を以前からねらっていたが、ゲッツェと同時に獲得し、同時にお披露目をしようと計画を練っているらしい。そうすればファンの注目も分散するし、ゲッツェに報道陣の質問が集中することもないという計算だ。バイエルンが5月にDFマッツ・フンメルスとMFレナト・サンチェスの獲得を同時に発表し、2人一緒にお披露目したのと同じ作戦である。

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