そして注目の立ち上がり。ダルビッシュは先頭打者にフルカウントから四球を与えてしまう。速球のコントロールがままならない印象だ。カブス打線はナ・リーグ本塁打トップの2番クリス・ブライアント、3番アンソニー・リゾ、4番ベン・ゾブリストと先日のオールスターゲームに選出された強打者が続く。いきなりのピンチだが、ここからがダルビッシュの本領発揮だった。

 ブライアントは外角のスライダーで追い込み、最後は158キロのフォーシームが外角低めいっぱいに決まって見逃し三振。続くリゾは左打者のひざ元へ曲がり落ちるスライダーで空振り三振に仕留めると、最後はゾブリストも3球三振に切って取る。続く2回も速球で追い込んで最後はスライダーという組み立てで先頭から2者連続の空振り三振。イニングをまたいで5連続奪三振と圧巻のピッチングだった。

 1点リードの3回は先頭打者の四球と1死後に許した初安打で一、二塁とピンチを背負ったダルビッシュ。ここで迎えたブライアントこそ2打席連続の三振に取ったものの、リゾには内角低めのスライダーをうまく拾われてライト線への逆転タイムリー二塁打とされてしまった。

 それでもダルビッシュの失点シーンは終わってみればここだけ。1点ビハインドの5回に四球と味方のエラーから1死一、二塁となったところでバニスター監督が設定していた球数上限の90球にちょうど達したこともあって交代を告げられたが、先にも述べたように復帰戦としては十分な収穫のあるピッチングだった。

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