塗り替わった外壁 ©Museo d’Arte Ghibli
塗り替わった外壁 ©Museo d’Arte Ghibli

 三鷹の森ジブリ美術館が15年目の大改修工事を経て、16日リニューアルオープンした。今年5月から約2カ月半をかけ、館内設備の刷新、屋上庭園や建物外壁の改修を進めてきた。リニューアルオープンと同時に、宮崎駿監督が企画・監修の新企画展示「バスにのってジブリの森へ」も始まっている。

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●宮崎駿監督のこだわりを強く反映

 今回の改修では、宮崎監督の強い思い入れで様変わりした部分が少なくない。いちばん目を引く例が、鮮やかな色になった建物外壁の塗り替えだ。

 工事前には黄土色の壁のほぼ全面にツタが生い茂っていた。が、現在はツタを部分的に残しつつも赤、黄色、緑……と非常に目立つ配色になっている。「2001年開館当時の色にもう一度塗り直したい」との監督の一声で、実現した。

 館内1階の常設展示室「映画の生まれる場所」では、特に「少女の部屋」と呼ばれる展示スペースに注文があったようだ。ここは「少女が出入りする空間」をイメージしながら、部屋のあちこちにアニメーション制作の関連物を置いている。その一環で壁に複数点、海や空の「青」が印象的なジブリ作品背景画を飾っており、部屋のランプシェードも青系統だった。

 宮崎監督からは「絵の中の青とかぶるので、ランプシェードの色を変えて」と指示があり、全7点のガラス製ランプシェードが暖色系になった。部屋全体の印象も、ほのかに明るくなったようだ。

 新しいシェードは作家の趣向により、「少女」を強く意識した繊細なデザインに仕上がった。よく見るとその中のひとつは、過去に企画展示テーマでもあった「クルミわり人形」がモチーフになっている。

 さらに注目は大きな改修が施された屋上庭園。リニューアル前は植物がうっそうと茂り、その中に館の象徴である「ロボット兵」がたたずんでいた。それがこのたびの改修ではさらに「天空の城ラピュタ」の空中庭園の趣がいっそう強くなっている。

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