世界文化遺産に登録された国立西洋美術館本館
世界文化遺産に登録された国立西洋美術館本館

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)は7月17日、トルコのイスタンブールで開催されている第40回世界遺産委員会において、東京・上野の国立西洋美術館本館を含む世界7か国17カ所にあるル・コルビュジエ(1887~1965)の建築作品群を世界文化遺産に登録することを決定した。

【西洋美術館の見どころを写真特集で】

 今回の世界遺産会議は、トルコ軍の一部による反乱があった影響で、審議が一時中断された。一時は会議の再開の見通しが立たず、登録が延期される懸念もあったが、17日になって審議が再開されることになり、登録が決まった。

 ル・コルビュジエはスイスで生まれ、後にフランス・パリに活動の拠点をおいた建築家で、近代建築の三大巨匠のひとりに数えられている。彼が1926年に発表した「新しい建築の五つの要点」では、自由な壁の配置、横長の窓、開放的ピロティといったその後の近代建築の特徴をいち早く唱えている。

 1959年に開館した国立西洋美術館は日本国内では唯一のル・コルビュジエの作品で、2007年には国の重要文化財(建築物)にも指定されている。また、東京都ではすでに小笠原諸島が世界自然遺産となっているが、島しょ部以外の東京都では意外なことに、これが初めての世界遺産登録となる。

 2016年5月17日にユネスコの諮問機関イコモスが、世界文化遺産への登録を勧告した後から、手軽に訪れることができる世界遺産として、すでに人気を集めている国立西洋美術館だが、今回の正式な登録を機により多くの人を集めることになることだろう。

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 さて、JR上野駅公園口から徒歩1分という至近距離にあるこの建物。世界文化遺産に登録されたのを機会に、この夏休み見学をと考えておられる方も多いことでしょう。そんな方々のために、国立西洋美術館本館の建物の見どころとエピソードをまとめてみました。

●その1「近代建築三大巨匠とは?」

 ル・コルビュジエは近代建築 世界三大巨匠のひとり。あとの2人は旧帝国ホテルやニューヨークのグッゲンハイム美術館などで有名な米国のフランク・ロイド ライトとドイツで生まれシーグラム・ビルなど米国にも多くの作品を残したミース・ファン・デル・ローエである。

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