とくに心臓病の手術や検査を受けるなどして感染症に対する抵抗力が落ちている人や、弁膜症など心臓の病気がある人は注意が必要です。

【骨粗しょう症】
 骨量が減少して骨がスカスカでもろく折れやすくなった状態を「骨粗しょう症」といいます。加齢とともに誰でも骨量は減少するものですが、とくに閉経以降の女性は女性ホルモンの分泌が減少するとともに骨量もぐっと少なくなるので、骨粗しょう症が多く見られるようになります。また、歯周病に侵された歯肉の中で産生される炎症性サイトカインには、骨代謝に影響を及ぼすものがあるということもわかってきました。

 逆に骨粗しょう症の人が歯周病になると、他の骨と同じように歯槽骨がもろくなり、吸収されるスピードも速まるので、歯周病が悪化しやすいといわれています。

【リウマチ】
 関節リウマチは免疫の異常などが原因で、手や足の関節に痛みや腫れをともなう炎症が起きる病気です。関節リウマチと歯周病には同じ炎症性サイトカインが関連しているなど共通点も多く、関節リウマチの患者は歯周病にかかりやすいことがわかっています。とくに口の中を不潔にしていると、歯周病が重症化しやすくなります。関節リウマチの患者さんは手指の動きが悪いので、歯ブラシを思うように動かせないことも重症化の一因でしょう。

 逆に歯周病があると関節リウマチの病状に影響を及ぼすなど、双方向で関連しています。

【誤嚥性肺炎】
 歯周病菌が気道経由で感染を広げる病気の代表が、「誤嚥性肺炎」です。口の中の歯周病菌が唾液や食べ物に混じって気道に入り込み、肺に感染を起こします。通常は唾液や食べ物が気道側に入ることはありませんが、高齢者は飲みこむ力が弱く、さらに感染に対する抵抗力も低下しているために誤嚥性肺炎を起こしやすいのです。

 肺炎は80歳以上の高齢者では死亡原因の3位であり、予防を心がけなければならない病気です。高齢者に口腔ケアをおこない、歯周病菌などの口内細菌が減少すると、肺炎の発症率を低下することが報告されています。

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