初出場ながらベスト8と今大会旋風を巻き起こしているアイスランド。(写真:Getty Images)
初出場ながらベスト8と今大会旋風を巻き起こしているアイスランド。(写真:Getty Images)

 人口33万人の初出場国アイスランドが、EURO2016(サッカー欧州選手権)で旋風を巻き起こしている。予選を突破しただけで快挙だと騒がれた小国は、グループリーグでポルトガル、ハンガリーと引き分け、ロスタイムの決勝点でオーストリアを下し、決勝トーナメントに進出。さらにラウンド16で優勝候補の一角イングランドを倒し、脚光を浴びた。

 イングランドが評判倒れだったことはさておき、アイスランドの躍進は決して偶然の産物ではない。

 2014年ブラジル・ワールドカップ予選ではグループ2位で、プレイオフに進出。クロアチアに敗れたが、本大会出場にあと一歩と迫ったからだ。今回の躍進も、この延長線上にある。

 近年のアイスランドの躍進は、この15年間の環境整備の賜物である。

 北極圏に近いこの国は、夏はほぼ一日中、太陽が出ているが、冬は最短で日照が4時間ほど。さらに風が強く、サッカーに向いた土地柄ではない。

 スポーツではハンドボールが人気があり、男子代表は2008年の北京五輪で銀メダルに輝いた。ハンドボールが盛んなのは、室内競技のため、厳しい気候に左右されることがないからだ。

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