右から、山口雅俊監督、今作に出演した女優の佐々木心音、堀江貴文
右から、山口雅俊監督、今作に出演した女優の佐々木心音、堀江貴文

 人気コミックを実写化した「闇金ウシジマくん」が、映画とドラマで復活する。作品は、金に困った客たちに「10日で5割」という超暴利で金を貸し付け、返済が滞ると徹底的に追い込んで回収する闇金業者と、その債務者を描いたかなり刺激的な内容だ。冷酷非道な闇金業者社長・ウシジマを山田孝之が演じたことも話題になり、深夜帯としては異例の高視聴率を記録、映画化もされた。

 7月からはドラマ『闇金ウシジマくん Season3』がスタートし、秋には映画『闇金ウシジマくん Part3』『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』が公開される。これに先駆けて6月26日に、同作の監督である山口雅俊と、過去に同作のスピンオフドラマに出演した堀江貴文らが対談。作品の裏側について語り合った。

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堀江:ずいぶん長くやりましたね。ファイナルって言ってますけど、またやるときに「リターンズ」でいけますからね。リターンズって詐欺ですよね(笑い)。

山口:ドラマでも最終回みたいなサブタイトルつけるときあるじゃないですか。「いよいよ最終章!」とか。あれって数字が苦しいからなんですよ(笑い)。でも、『ウシジマくん』の成功は主演が山田孝之というのが大きかった。

堀江:山田くんって変ですよね、ほんと。

山口:山田くんってオファー山ほど来るのに、それを断って深夜ドラマをやってるんですよ。『勇者ヨシヒコ』シリーズとか、『山田孝之の東京都北区赤羽』とか、やりたいことをやってる。彼に最初に会ったのは、NHK連ドラ『ちゅらさん』のときでした。

堀江:本当にいい子の役でしたよね。主演の国仲涼子の弟役で。

監督:これまでも山田くんには、ドラマ『漂流教室』に出てもらったり、そのあとは『ランチの女王』でイケメンシェフ役、あとは『ウォーターボーイズ』に出てもらったり。その頃から彼はそれなりに努力してきた。

堀江:それが『ウシジマくん』でガラッと変わりましたね。

山口:最初は「ウシジマは山田くんじゃない」って声もあったんですが、映像的な説得力もあって。ウシジマくんのキャスティングはオーディションでやってるんですが、これは僕がずっとやろうと思っていたこと。日本のドラマも必ずオーディションするようになったら、もっと面白くなると思う。

堀江:実は僕、とある漫画原作の映画を作ろうってなって、1回オーディションやったんですよ。知ってるやつが来たりして、超面白かった。でもオーディションで選考するときって、どうやって選んでるんだろうなと思って。あの時は主人公の女の子がばっちり決まっていて、「ああいう子はなかなかいないよね」って話してたんです。オーディションって採用面接以上に難しい。採用ではスキルとか資格からある程度分かる。でも資格とか、卒業した大学とか、オーディションではあまり関係ないじゃないですか。どうやって選んでるのかなって思うんですが。

山口:男性が男性を選ぶのは難しいんですよ。男性の役者で伸びる人は、女性から見て素敵な人なんです。男性から見て「こいつはいい」っていうのは、だいたいつまらない男性(笑い)。ドラマでは主演俳優がすごく大事。今回のドラマは、ウシジマを山田孝之がやるってなった時に、ウシジマは体がでかいキャラクターなので、山田には合わないとか、いろいろな声もあった。そんな中でも山田孝之を主演に据えられたっていうのは、作品の大きなターニングポイントだったと思う。(文・横田 泉)