今回は、その高速サーブがより生きる芝のコートでの対戦。とはいえ基本的な戦い方は前回と同様に、自らのサーブキープに集中しつつ、数少ないであろうブレークポイントを奪いにいくことになるだろう。まだ初戦の相手を知らぬ今週木曜日の時点で、錦織は自身の芝での成長点として「サーブがここ数年特に良くなっている。集中力をしっかり保てればキープもできると思います」と言っていた。

 自身のサービスキープ、集中力の持続、そしてビッグサーブの攻略――初戦には、芝での勝利の鍵が集約されている。

 その他の日本人選手では、ウィンブルドン初出場となるダニエル太郎が、初戦で元世界10位のフアン・モナコと対戦。ダニエル太郎はクレーを最も得意とするが、それは対戦相手のモナコも同じ。粘り強い打ち合いを好む両者なだけに、芝でも長く熱いラリー戦が展開されそうだ。

 また、予選を突破し初のウィンブルドン本選に勝ち上がった西岡良仁も、活躍が楽しみな選手。小柄な西岡も本来は芝が得意な訳ではないが、今回は「負けたら負けたで仕方ない」という、ある種の開き直りの境地で予選に挑み、「不思議なくらい緊張することなく」3試合を勝ち抜いた。本選にも同様の心理状態で挑めれば、勝ち星がついてくる可能性は高いだろう。

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