また別のフェス関係者も同様に「努力はしているが対応に苦慮している」とし、ネット上では痴漢防止のために「最前列に女性専用エリアを作ってほしい」との要望もあるが、これも「現実的には難しい」(前出の関係者)と明かした。

「ライブハウスでも痴漢が問題視されていますが、それも被害の大半は最前列やモッシュ(観客が密集状態で体をぶつけ合う行為)の最中。混乱状態なのでスタッフの監視にも限界があり、被害者の泣き寝入りになってしまいがちです。何とか効果的な対策を考えなければいけないのですが……」(音楽雑誌の編集者)

 アウトドア系のファッションが目立つ山中開催の「フジロック」などよりも、薄着が多いとされる「都市型フェス」の方が痴漢被害が深刻といわれている。

「都市型フェスでは、女の子がショートパンツにキャミソールやタンクトップといった薄着が多いのは事実。なかには上半身は水着で参加している女性もいる。しかし、だからといって痴漢に遭いやすいとはいえず、被害に遭った女性はTシャツ&デニムなど普通の服装である場合も多い。都市型フェスの方が被害が多いとすれば、山中で開催されるフェスよりも手軽に参加できるために“不純な客”が紛れ込みやすいのが原因と考えるのが妥当でしょう」(前同)

 今のところ最前列などの密集ゾーンを避けるという“自己防衛”が最善の策といえそうだが、せっかくのフェスで女性というだけで痴漢を気にしながらライブを観なくてはならないとすれば悲劇以外の何物でもない。一部の不届き者のせいで音楽を愛する人々が嫌な思いをしないで済むようになるにはどうすればいいのか、これは音楽界全体の課題といえそうだ。(ライター・別所たけし)