しりあがり:今度は上手に描けた。

八巻:ほんとっすか? (しりあがりさんの絵を見て)あ、ほんとだ~。(今度は西原さんの絵を見て)あ、西原さん、やっぱりうまくなりましたね。じゃあ、西原さんの方から行きましょう。こちらです(※写真4参照)。わかりますもんね? ちゃんと。なんか中井貴一っぽい感じも。

西原:そうそう、ちょっと困り顔の人が。

八巻:これが最近西原さんお気に入りの、りえくまちゃんですね。うまいですね。じゃあ、しりあがりさんの行きますね。しりあがりさん、今回はちゃんと知ってたみたいで(※写真5参照)。

会場:おおー!

しりあがり:ほらー(笑)

八巻:なんかすごい、感嘆の声が(笑)

しりあがり:なんかこれくらいで感心されるっていいなぁ。得だなぁ。

西原:やっぱり、落ちこぼれクラスの子がちゃんとできるようになるとね、褒められちゃってもう。

しりあがり:絵、がんばろうとか思うよね。

西原:ねぇ(笑)

しりあがり:あ、落ちてんのは塩辛ね。(会場爆笑)

■波乱を呼ぶ「手塚アトム」と「浦沢アトム」

八巻:細かいですね。なるほど、なるほど。さて、次どうしましょうね。せっかく浦沢先生がいらしてたので、「PLUTO」を。手塚アトムと浦沢アトムを。

西原:いや、PLUTO自体忘れちゃったし。ミッキーマウスみたいな……あ、違う!

しりあがり:あれ、手は取れなかったっけ?

西原:ミッキーマウスだ……。

しりあがり:……ミッキーマウスじゃないよ(笑)

西原:いや、ミッキーマウスを手塚先生が意識したんだって浦沢さんが言ってて、あ、ほんとだなって、あのイラつく富士額……。えっとねー、浦沢さんロボットが下手なんですよ。

八巻:(笑いながら両作品を見て)2人ともPLUTO読んでませんね? 絶対に読んでいない!

西原:いや、読んだけど忘れちゃった。

八巻:読んだけど忘れた?

しりあがり:え、でも、だいたい想像つくよね?

八巻:だいたい想像つくよね?(笑)

西原:だから、なんかほら、浦沢さんのマンガってなんか忘れちゃうじゃん。華がなくて。

八巻:まあ、忘れちゃいますね。特にラストがどうだったとか……。

西原:ラストどうなったとか誰も覚えてない。

八巻:それは、そういうところがあるかもしれない。(舞台袖をうかがいながら)浦沢さんはもう帰られました?

会場:(爆笑)

八巻:ちょっと発言の強さを変えなきゃならないんで。一応小学館の社員なんで。一応。ではここで、先に正解を見てみましょうか。(プロジェクターに映し出される)浦沢さんのPLUTO。

西原:ああ、こんなんだったか。

八巻:さて、それを念頭に置きまして、しりあがりさんの両アトムさんですね(※写真6参照)。

会場:(笑)

しりあがり:だいたい合ってる。

八巻:これなんか、マンガ家さん違いますよ。これ浦沢さんのせいじゃない。

しりあがり:あのアトムがちょっと年取ったら、髪形も変えて。

西原:これはなんか、ただの相撲取りかなんか……。

八巻:さて、西原さんのPLUTOは。これは、あ、あれですね、アレを描いたんですね(※写真7参照)。

西原:カニが出てくるじゃん、途中で、ジャキジャキジャキって。

八巻:メイドです、メイドの女の人ですね。いました、いました。あれ、いい話でしたね。

西原:浦沢さんがミッキーマウスだよって教えてくれたんで、よく考えたら耳、丸くしちゃったの間違いでしたね。とがらせなきゃいけないっすね。

■衝撃的な「ヒカルの碁」誕生!

八巻:さてじゃあ次にいきましょうか。そうだな、一番苦手系の絵で、第9回の新生賞「ヒカルの碁」とか描けます? 一番はるか遠いところにいると思いますが。

西原:うーん。碁を描けばいいんでしょ。

八巻:碁を描けばいいってなんか違います。それは「3月のライオン」は将棋描けばいいってことですよね。根本的なことが違っているような……。

しりあがり:碁が光ってればいいんでしょ。

八巻:じゃあ、「ヒカルの碁」をぜひ。ものすごく絵のうまい人です。

西原:碁とか、かるたとか、なんか変なもんでみんな一山当てるよね。

会場:(笑)

しりあがり:次は花札かなんかでね。

西原:なんかもう次から次へとよく持ってくるよね。発酵食品で当てたりとか、みんな。なんかいろいろだよね。

しりあがり:誰のことだよそれ(笑)

西原:ねえ、ヒカルの碁ってよーじやみたいな顔の人出てくるよね? 確か出たよね?

八巻:よーじや? 「ヒカルの碁」によーじや? 佐為のこと言ってるんですかね?

しりあがり:もう諦めちゃったから。

八巻:諦めたって、顔が結構全然(笑)やる気がないでしょ?

しりあがり:でも今回難しい。もうちょっと記憶のかけらでもあるといいんだけど。

八巻:いや、かけらは残ってます。読まれてるっていうのはわかります。

西原:こんなよーじやみたいなの。

八巻:ああ、やっぱりそれですか。佐為ですね。じゃあ、先に答えを(スクリーンに映し出される)。これですね、「ヒカルの碁」。

西原:ああ、そうそう、これこれ。

八巻:これのこと言ってるんですね。

しりあがり:ほぼ合ってたけどな。惜しかった

八巻:ほぼ合ってるしりあがりさんは、これですね(※写真8参照)。

西原:あ、合ってる合ってる!

八巻:合ってる合ってるって、会話がおかしいです(笑)

しりあがり:学生服にしちゃったんだよね、間違って。

西原:いや、学生服に見えないから、生首がこうもげたみたいななんか……。

八巻:学生服ってこれですか?

しりあがり:そうそう。

西原:いやそれは首がもげた。進撃の巨人に引っ張られたという。

しりあがり:残念だな、学生服じゃなかったな。

八巻:でも、読まれてるのはわかりますよね? で、西原さんのは……(※写真9参照)。

しりあがり・会場:ああー。

八巻:ダメです、感心しちゃ。感心されてる(笑)

しりあがり:なんか今日、すごいレベル低くない?

八巻:気付きました? あの、おふたりとも美大なんですよ。ムサビとタマビです。

西原:そう、共にデザインです。

しりあがり:線引きさえあればもっと上手に描けんのになぁ。

八巻:線引きありますよ。線引き。(定規を持ってくる)ありますよ。線引きあります、はい。

西原:もー、次から上手に描くんですね。うそついたからもー。

しりあがり:(苦笑)とりあえず描いてみるか。

■OL進化論

八巻:そうですね、次どうしようかな。もっとも意外なところで、秋月りすさんの「OL進化論」。

西原:ああ、あのイラつくマンガね。

八巻:あ、イラつきますか? 意外と、簡単そうで難しいんじゃないですか?

西原:古い女子大生のイラストみたいな絵なんだよね。私の絵と微妙に時代が近いんだけど、ちょっと古いんです私より。私が子供のころの女子大生が、ああいう絵を手紙の後ろに付けて出してた。そん時にイラッとして。その女子大生がソバージュとかしてて。

八巻:時代ですね。

西原:そう、時代です。時代です。

次のページ