こう話す萩野は、高3で出場した12年ロンドン五輪では初めての世界大会だったにも関わらず、初日の400m個人メドレーでは予選、決勝と自己記録を連発。マイケル・フェルプス(アメリカ)に競り勝って4分08秒94のアジア新で銅メダルを獲得してチームに勢いをつけ、日本をメダルラッシュへと導いた。その後は東洋大へ進んで平井伯昌コーチの指導を受けて、マルチスイマーとして日本のエースへと成長。だが昨年の世界選手権は6月の合宿で肘を骨折して欠場し、試合復帰は11月20日からの東京SC招待記録会だった。

 だがケガをする前と体は微妙に違っている。そんな中で「今できている泳ぎが正しい」と確認できるのは過去のタイムを超えることだ。だが練習ではできる動きが、緊張感のある試合ではなかなかできないことは良くあるもの。日本選手権初日の400m個人メドレーは昨年の世界選手権優勝で瀬戸大也がすでに代表に内定していて1枠しか残っていないという緊張感もある中、萩野は自身が持つ4分07秒61の日本記録更新を狙って最初のバタフライから突っ込んだ。だが結果は自己記録に遠く及ばない4分08秒90。

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