今後に向けて改善すべき点は、ルールの立法趣旨を考えることだ。そもそも、ルールの条文とは、すべてを網羅するものではない。今季、本塁突入をめぐり、DeNAの走者・倉本寿彦が、巨人の捕手小林誠司のタッチをかいくぐり、セーフとなったプレーがあった。これに巨人高橋由伸監督が注文をつけたのが、走路の3フィートラインオーバーではないか、という点。ルールでは、塁間の3フィートは規定されているが、本塁上については、記載がない。では、どこまでも逃げていれば、永遠にアウトにならないのか、という屁理屈が出そうだ。しかし、これには審判が「もし、走者が明らかに本塁とは関係ない方向に走りだしたら、野球に対する侮辱として退場にする」と明らかにしている。ルールの条文だけが、すべてではない。審判の「常識」が優先されても、文句は出ないはずだ。

 原口のプレーに戻ると、コリジョンルールの立法趣旨は「走者、捕手に接触プレーで怪我をさせないこと」だ。そして、原口は走者への配慮を見せていた。この点を勘案すると、前記のプレーでは、アウトの判定が望ましかったはずだ。13年にマートン(阪神)が明らかにアウトのタイミングで本塁にタックルで突入し、ヤクルトの田中雅彦、相川亮二捕手を負傷させた。日本では選手会からの要望もあり、このプレーがコリジョンルール導入の契機となった一面もある。プロ野球機構は「審判の立法趣旨に基づいた常識的な判断を最優先させる」と速やかに通達すべきだ。