また、恋愛のパートナーがいないという意味での「ぼっち」に関しても興味深い“議論”が発生した。ディズニー映画『アナと雪の女王』のエルサに「続編でガールフレンドを作ってあげて」という声が米国を中心に盛り上がったことがきっかけだった。

 一部ファンの間では「エルサは同性愛者」との説があり、劇中歌の「ありのままで」という一節はカミングアウトを意味すると考えられている。ディズニープリンセスは基本的に「王子様」がいるため、エルサには「同性の恋人を」という流れだ。「同性愛者に勇気を与える」といった意見がある一方、保守派の間では「エルサに王子様を」との反対運動が勃発するなど論争が生まれた。

 そんな中、日本ではどちらも否定する意見がネット上で支持を集めている。エルサに同性の恋人を求めるのは「性の多様性に寛容なようでいて『パートナーがいないと幸せになれない』という意見を押し付けている」といった主張に賛同が相次いだのだ。

 内閣府の14年度の調査では、20~39歳の未婚男女の約4割が「恋人が欲しいと思わない」と回答。いまや恋愛における「ぼっち」は決して少数派ではないが、その一方で「ぼっち行動」と同じく世間の目に敏感になっている人は多い。前述の「エルサにパートナーを」活動にも圧力を感じた人が少なくなかったようだ。

 いずれにしても、幸せは他人が決めることではない。多くの人の生きづらさにもつながっている「ぼっち」への偏見が消えることはあるのだろうか。(ライター・別所たけし)