終盤戦で注目されたのが、主将フランチェスコ・トッティだ。前半戦の負傷や年齢もあり、出場機会に恵まれなかった希代のファンタジスタにとっては、苦しいシーズンだった。契約が今季までというなか、スパレッティ監督との確執が報じられ、引退や移籍の可能性も騒がれた。

 だが、4月のボローニャ戦で同点弾をアシストすると、トッティは見事に復活を遂げる。続くアタランタ戦で終盤からの出場ながら同点弾を決めると、圧巻はトリノ戦。86分に出場してから2ゴールを挙げ、チームを逆転勝利に導いた。あらためて存在感を発揮したトッティは、ローマとの契約延長に向かっている。40歳となる来季も、ローマの王子をピッチで見ることができそうだ。

 ローマを上回る2位フィニッシュを決めたのは、マウリツィオ・サッリ監督が就任したナポリだ。開幕4戦目から4-3-3を固定し、セリエ屈指のスペクタクルな攻撃で今季のセリエを魅了したナポリだが、特筆すべきはやはりエースのゴンサロ・イグアインだろう。

 昨季のセリエAでナポリがCL出場権を逃したことで、開幕前は移籍もうわさされたイグアインだが、ふたを開けてみれば1試合1得点という驚異のペースでゴールを量産。逆転優勝の望みが消えた4月のウディネーゼ戦での審判への言動で3試合の出場停止を科されたにもかかわらず、最終節のハットトリックで通算36ゴールと年間最多得点記録を66年ぶりに更新した。(文・中村大晃)