また、35才ながらサラ賞(スペイン人得点王)を手にしたアリツ・アドゥリス(アスレティック・ビルバオ)は“老いてなお盛ん”の気概を見せた。15歳でスキーのクロスカントリー全国大会に出場したアドゥリスはバランス感覚に優れるが、それは一面に過ぎない。試合経験を重ねる中で駆け引きに長じ、挑発して苛つかせた敵DFの裏を取れるのだ。

 最後に日本人MF、乾貴士についても触れるべきだろう。乾はエイバルで上々のシーズンを送った。攻撃面で見せた貢献度は、過去の日本人選手でも1、2を争う。左サイドから中央に切り込むプレーには得点の予感が横溢し、サポーターにも愛された。しかし守備の強度が低く、格上相手には使ってもらえず、レギュラーは取り切れていない。来季に期待だろう。

 今シーズンもバルサが主役だったが、様々なチーム、選手の躍動が彩りを添えた。CL決勝がスペイン勢同士であることが、リーガの高水準を示している。そこはまさに修羅場なのである。

(文・小宮良之)