転写紙を張り、焼くだけで、オリジナルデザインの磁器が完成する(cerisier提供)
転写紙を張り、焼くだけで、オリジナルデザインの磁器が完成する(cerisier提供)
カッターナイフで転写紙を好みの形に切り取る。プレートに置いてみるだけでおしゃれ(?)な感じだ
カッターナイフで転写紙を好みの形に切り取る。プレートに置いてみるだけでおしゃれ(?)な感じだ
転写紙の張り方を教える船木さん
転写紙の張り方を教える船木さん
一緒にレッスンを受けた人たちの作品。それぞれに個性があっておもしろい
一緒にレッスンを受けた人たちの作品。それぞれに個性があっておもしろい

「ポーセラーツ」をご存じだろうか。真っ白な磁器に転写紙を張ったり、絵の具で色を塗ったりして、オリジナルデザインの食器などを完成させるという習い事だ。今、主婦たちの間でじわじわきており、一説によると、その勢いは料理教室やフラワーアレンジメントをしのぐほどだという。いったい何がそんなにも人々を引きつけるのか? 体験レッスンに参加し、その魅力に迫った。

 ポーセラーツとは、英語の「porcelain」(磁器)と「art」(芸術)を組み合わせた造語だ。その歴史は意外と古く、1998年、手芸雑誌やカルチャースクールを展開する日本ヴォーグ社が始めたという。同社が運営する「ポーセラーツ倶楽部」(東京都新宿区)によると、ここ3、4年で30~40代の女性を中心に人気が高まっているという。

 今回筆者が参加したのは、さまざまな柄や模様の転写紙を使ってデザインする、初心者向けのレッスンだ。(1)デザインを決める (2)転写紙を切り取る (3)水にぬらしてぺたぺたと磁器に張る (4)半日乾かした後、電気炉を使い800度で焼成(原料を高温で焼いて固めること)する、という流れだ。神戸市などでレッスンを行うサロン「cerisier(スリジエ)」のインストラクター、船木咲くらさん(日本ヴォーグ社認定講師)に教えてもらった。

 まずはデザインする磁器を選ぶのだが、船木さんによると、初心者の場合プレートやマグカップ、ペンスタンドなどシンプルな形のものが良いそうだ。お茶わんやポット、重箱など曲面が多いものは、転写紙をはるのが難しいため、上級者向けだという。ということで、平たくて失敗しなさそうなプレートを選択した。

 次はデザインを考える。数ある転写紙から柄や模様を選んでいくのだが、どれもこれもすてきでけっこう迷う。「ベースとなる色・柄や、かわいい、かっこいい、洋風、和風といったテイストを基準に決めるとよいですよ」と船木さんがアドバイスする。「dot.」にちなんで水玉、北欧デザインっぽい柄にした。人気はストライプやダマスク、アラベスクといった反復するもようだという。

 大まかなイメージを決め、転写紙をカッターで切り取っていく。不器用なだけに、緊張が走る。やはりというか、誤って模様の一部を切り離してしまった。しまった、と慌てふためいていると、「後からつなぎ合わせて修復しましょう」と船木さんの優しいお声がかかる。本当に大丈夫なのか。不安を胸に、とりあえずすべてのパーツを切り取った。

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