一方で、ビッグクラブの不甲斐なさも目立った。ライバルクラブが揃って不振に陥り、12年ぶりのリーグ制覇に期待が高まったアーセナルは、勝負弱さと怪我人の多さが祟って失速。さらに、シーズン後半戦から馬力を発揮すると思われたマンチェスター・Cも、2月頭に今季限りでマヌエル・ペジェグリーニ監督の退任発表がなされると、見る見るうちに選手の覇気が薄れていった。

 ジョゼ・モウリーニョとともに路頭に迷ったチェルシー、決定力不足に喘いで勝ち切れない試合が続いたマンチェスター・U、ユルゲン・クロップ監督の思い描く戦術が浸透しきれなかったリバプールも、栄冠を掴むのには力不足だった。強豪クラブで「成功」と位置づけられるのは、マウリシオ・ポチェッティーノ監督が志向する「ハイライン&ハイプレス」のモダンサッカーで、昨季の5位から3位に順位を押し上げたトッテナムぐらいだろう。

 かくして、サプライズの連続だった2015-16シーズンは、レスターの戴冠で幕を閉じた。そのレスターが王者として迎え、ビッグクラブが挑戦者として挑む来シーズンは、はたしてどんな物語が待っているだろうか。

(文・田嶋コウスケ)