「ゆとり世代」は失敗作? 社会に蔓延する“ゆとり批判”の正体

2016/05/27 07:00

 望んで「ゆとり世代」になったわけでもないのに、これでは本当に差別になってしまいそうだ。だが、本当に「ゆとり世代」は世間のイメージ通りのダメ世代なのだろうか。

「少なくとも日頃の振る舞いに関してはゆとり教育のせいではないでしょう。ゆとり世代の特徴とされる『協調性がない』『こらえ性がない』といった点は、昔から先輩世代が下の世代に『近ごろの若いモンは……』と嘆いてきた内容と変わらない。『出世を望まない』という特徴も、単に報酬と釣り合わない労働や責任を拒否しているという至極当然の理由。もし世代の傾向があるとすれば、社会や生活環境の変化が原因と考えるのが妥当ではないでしょうか」(教育ジャーナリスト)

 そもそもゆとり世代は決して、ゆとりのある世代ではなかったとの指摘もある。

「物心がついた時点で日本は先の見えない不況。サブプライムローン問題を端に発した世界的な金融危機の影響などにより、大多数は就職氷河期に直面した。社会人になった途端に東日本大震災の混乱を経験するなど、むしろ彼らの上司に当たるバブル世代より苦労しているといってもいい。中には“ゆとりモンスター”といえるような若者もいるでしょうが、それは個人の問題であって世代でひとくくりにできるものではない。国策として大々的に喧伝したことで『ゆとり世代』という幻想が生まれ、それが新たな若者イジメに発展してしまったようにも感じられます」(同)

 ゆとり世代を取り上げた放送中のドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)でも「世代でひとくくりにはできない」というテーマが根本にある。劇中では87年生まれの「ゆとり第一世代」が自分よりも若いゆとり世代にジェネレーションギャップを感じるシーンがあるが、ゆとり批判の正体は昔から繰り返されている「最近の若いモンは……」の単なる派生形なのかもしれない。(ライター・別所たけし)

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