「本塁打率」という言葉がある。1本塁打あたりに要する打数のことだ。これが今季の大谷は「8.63」(69打数で8本塁打)。今季は、パ・リーグ本塁打王(16本)のメヒア(西武)が「11.00」でセ・リーグ本塁打王(15本)の山田哲人(ヤクルト)が「11.67」。開幕からアーチを量産してきたビシエド(中日)は「13.38」だ。つまり、いずれ劣らぬ怪力の打者たちよりも、1本塁打あたりの打数は大谷の方が少ないのだ。

 この本塁打率「8.63」はプロ野球史上、いかに恐るべき数値なのか。松井秀喜は10を切ったことが1度もなく、日本最終年(2002年)の「10.00」(500打数50本塁打)が自己最高。王貞治は9.00以下が6度あるが、通算本塁打が史上2位の野村克也(南海、西武など)は63年の「10.58」(550打数52本塁打)が最高だ。通算本塁打3位の門田博光(南海など)も、80年の「9.20」(377打数41本塁打)が最高で、8台は1度もない。

 もしも、大谷が打者に専念したら。本塁打王は夢ではない。日本最高の打者になる可能性さえ、ある。

文=日刊スポーツ・斎藤直樹