攻守に精彩を欠いただけに、次の試合では使われないだろうと思ったら、手倉森監督はハーフタイムで三丸拡(鳥栖)と交代させた。彼は左DFのため、左DFの亀川諒史(福岡)を右DFにコンバート。これは4月の清水とのテストマッチでトライ済みだが、その亀川も試合後は足を傷めたのかピッチに座り込みスパイクを脱いでいた。ファン・ウェルメスケルケン際に使えるメドが立たず、亀川も負傷となれば、今回のメンバーで右DFを経験しているのはMF登録の前田直輝(横浜FM)しかいない。相変わらず日本の右DFはウィークポイントであることを露呈したパラグアイ戦だった。

 そして32分には空中戦で競り合った後の着地で相手選手との接触プレーから、岩波拓也(神戸)が左膝を傷めて担架で運ばれる緊急事態が発生。奈良の辞退で追加招集された三浦弦太(清水)が岩波と交代したものの、岩波のケガが長引くようなら今大会はCBのバックアッパーがいないため、残り試合を植田と三浦で戦わなければならない。ターンオーバーという構想は初戦で早くも崩れてしまったことになる。

 試合は遠藤、奈良を欠き、ロングパスの精度を欠く日本は得意とするカウンターをなかなか仕掛けられない。パスをつなぐというより、パスをつなぐしかない展開になりスピーディーな攻撃をしかけることができずに前半を終了した。それでも後半途中から出場したオナイウ阿道(千葉)のキープからリズムをつかみ、66分に浅野拓磨(広島)が同点ゴールを決める。ところが75分、交代出場したブリテスはプレーでも口でも挑発行為を仕掛ける好戦的な選手だったが、その誘いに喜田拓也(横浜FM)が「慌てて飛び込んで」(手倉森監督)FKを与え、これをディアスに決められ決勝点を許してしまった。

 初戦を落として後がない日本。23日はリオ五輪に出場するポルトガルが相手となるが、決勝か3/4位決定戦に進めるグループ2位以内を死守するには勝利しかない。チーム状況は厳しいものの、これもリオ五輪本番を想定すれば格好のシミュレーションと言えるだろう。

サッカージャーナリスト・六川亨【週刊サッカーダイジェスト・元編集長】)