「上原さんが“進化”したのではなく、身体が徐々に“適応”していったと言った方が相応しいのではないでしょうか。アメリカと日本では本当に多くのことが違い、小さな違いでも長いシーズンでは大きな差になる。対策を講じなければケガをしてしまうのは当たり前。環境に慣れることで、上原さんの身体は長いシーズンに耐えられるものに徐々に変わっていったのだと思います」

 日本人投手は最初の1~2年こそ好成績を残すものの、その効果が長続きしない選手が多いのは否定できない事実だ。おかげで、“賞味期限は3年前後”と言われてしまうことがある。しかし、メジャー5年目にしてトップクラスの評価を勝ち得るようになり、以降も高水準を保っているという意味で、上原は極めてユニークな存在であり続けている。

 その背後には入念なケアと稀有な適応能力があるのだとすれば、この活躍が続かないと考える理由はない。今季の投球内容を見ても、上原が少なくとてもあと数年はメジャーで躍動する可能性は高いのではないだろうか。

(文・杉浦大介)