木村、荒木といった百戦錬磨の経験を持つ選手たちに加え、昨年のワールドカップで活躍した19歳の古賀紗理那、15歳からVリーグでプレーし経験を重ねて来た21歳のセッター宮下遥など若手の台頭も著しい。特に古賀は「相手ブロックとレシーブの位置を見て打つ場所を決めている」と言う攻撃力に加えて守備力も高く、木村と共に攻守両面でチームの主軸を担う。意思表示や自己表現に長けた選手ではないが、地震で大きな被害を受けた地元・本のために「自分が頑張る姿を見て、少しでも元気づけることができれば嬉しいし、熊本で大変な生活をしている方々の分も背負って頑張りたい」と決意を語るなど、日本代表として成長した姿を見せている。

 最終予選を経験していない選手も多く、一発勝負のプレッシャーや独特の空気感に戸惑うのではないかという声もあるが、それも不安要素とばかり考えるのではなく、プラスに捉える術はある、と木村は言う。

「自分が若い頃は『最終予選は他の大会と違う』と言われても、実際に何がどう違うかわからなくて、ただ一生懸命プレーしていただけ。だから、今の若い子たちも同じ。変に意識しすぎることなく、思いっきりプレーしてチームに勢いを与えてくれればいい」

 9日間で7試合を戦う過酷な日程ではあるが、前半戦で勝ち星を重ねれば一気に波に乗るはずだ。世界選手権でも初戦でアゼルバイジャンにまさかの敗戦を喫して出鼻をくじかれた苦い経験があるだけに、眞鍋監督も「まずは開幕戦」と意気込む。大会初日、14日のペルー戦が、日本の四大会連続となる五輪出場を占う大きなポイントとなりそうだ。(文・田中夕子)