日本女子バレーでは史上初となる四度目の五輪を目指す主将・木村沙織。(写真:Getty Images)
日本女子バレーでは史上初となる四度目の五輪を目指す主将・木村沙織。(写真:Getty Images)

 ランキングも対戦成績も関係ない。まさに一発勝負の怖さが出る場所。

 リオデジャネイロ五輪出場をかけた、ラストチャンス。バレーボールの世界最終予選兼アジア大陸予選の女子大会が5月14日に東京体育館で開幕する。

 4年前、ロンドン五輪では28年ぶりの銅メダルを獲得した女子日本代表だが、その直前の最終予選では大苦戦を強いられた。2013年のワールドカップで4位、12年の世界選手権では3位と実績もあり、ロンドンでのメダル獲得に向け、眞鍋政義監督は「最終予選は必ず1位通過する」と公言した。だが「絶対に負けられない」という気負いがプレッシャーとなり、最終日の結果次第では五輪出場を逃すというところまで追い込まれた。

 五輪に出るにはどれほどの覚悟が必要か。苦い経験を通して「最終予選は他の大会とは全く違うもの」と言うのが、13年から主将を務める木村沙織だ。

 18歳でアテネ五輪に出場し、北京、ロンドンと三度の五輪を経験。リオ五輪に出場すれば、日本の女子バレーボール選手としては初となる四度目の五輪となる。卓越した技術とセンス、「天才」と言われ続けて来た木村だが、主将になってからは周囲に気を遣いすぎるあまり「バレーボールが楽しめていなかった」と振り返る。14年の世界選手権、15年のワールドカップでも表彰台を逃し、失意の中、一時は代表でプレーすることすら悩んだ時期もあったが、最終予選が近づくにつれ「自分がやらなければいけない、と覚悟が備わった」と言う。今季はロンドン五輪で主将を務めた盟友の荒木絵里香も出産を経て4年ぶりに代表復帰を果たしたことも木村にとっては大きな支え。「今までの中で、一番バレーを楽しいと感じられている」と笑顔を見せる。

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