日本一の落差がある滝とは!? 富山県立山町にある「称名滝(しょうみょうだき)」である。その落差は350メートル。立山連峰の雪解け水がゴーッと音を立てて流れ落ちるさまは大迫力で、新緑と水しぶきのコントラストが美しい。しかし、この滝を上回る落差を誇る「日本一の滝」があるのをご存じだろうか?
その滝は、称名滝の右側にある。名前は「ハンノキ滝」。落差は約500メートルで、称名滝と同じ滝つぼに、雪解け水が流れ込む。二つの滝は、正面から見るとVの字を形づくり、並んだ姿は壮観だ。
称名滝より落差があるにもかかわらず、ハンノキ滝は正式に“日本一”と認定されていない。なぜなら、年間を通じて、いつも存在しているわけではないから。雪解け水の多い初夏や、秋の雨期のみ見ることのできる“幻の落差日本一の滝”である。
5月8日、富山県立山町に足を運んでみたところ、ハンノキ滝は姿を現し、称名滝と見事なV字の形をつくり上げていた。前日、雨が降って流量が増したためだろう。滝つぼに流れ落ちる水は、「ドドーッ!」とごう音を響かせ、水しぶきを上げていた。
滝の手前の駐車場で車を止め、二つの滝が流れ込む称名川にかかる称名橋まで約30分歩くと、汗ばむような陽気だったが、滝つぼの前に立つと、細かい水しぶきと滝から吹いてくる風が心地よい。静岡、三重、石川など県外ナンバーの車が並び、多くの観光客が並んで滝を眺めていた。