援護率は、非常に投手の勝敗と密接に関連する。今季のセ・リーグで援護率が高い投手は野村祐輔(広島=7.02点)、メッセンジャー(阪神=6.18点)、ジョンソン(広島=5.73点)がトップ3だが、防御率6位の野村と同9位のメッセンジャーはリーグトップタイの4勝を挙げている。一方、防御率と奪三振の2冠王である岩貞祐太(阪神)が3勝止まりなのは、援護率がリーグで3番目に低い(2.30点)からに他ならない。

 パ・リーグに目を移すと、今季の援護率が最も高い投手は涌井秀章(ロッテ)で6.71点。メンドーサ(日本ハム)6.14点、バンデンハーク(ソフトバンク)6.13点と続く。防御率がリーグ15位(19人中)のメンドーサは2勝3敗だが、同11位の涌井は無傷の5連勝中で、同2位のバンデンハークも4勝0敗と負けなし。一方で防御率が10位の釜田佳直(楽天)は、援護率がリーグ最低の2.35点とあって、わずか1勝(1敗)にとどまっている。過去には釜田と似たような成績を残しながら「勝ち運がない」といった理由で2軍に降格された投手もいたが、投手の勝敗は、能力以外の要素である援護率に大きく左右されるのだ。

 ちなみに、昨年の援護率は、セの最多が 石川雅規(ヤクルト)で、パが十亀剣(西武)。石川は自己最多タイの13勝(9敗)、十亀は初の2桁勝利となる11勝(7敗)を挙げた。昨年の援護率がセ最少だったメッセンジャー(阪神)とパ最少だった則本昂大(楽天)は、9勝12敗と10勝11敗で、ともに負け越している。(文/日刊スポーツ・斎藤直樹)