通算500盗塁を達成したマーリンズのイチロー。(写真:Getty Images)
通算500盗塁を達成したマーリンズのイチロー。(写真:Getty Images)

 マイアミ・マーリンズのイチローが、またも金字塔を打ち立てた。現地29日のミルウォーキー・ブリュワーズ戦でメジャー通算500盗塁を達成したのだ。

 記録には時代ごとの背景や価値観の変遷があるため、長い歴史を持つメジャーリーグの通算成績も同じような数字ながら意味合いが異なるものもある。本塁打さえも20世紀初頭までは重視されず、当時の伝説的打者タイ・カッブはホームラン量産に価値を見出していなかったとも伝えられている。

 話を盗塁に戻せば、メジャー黎明期は逆走による盗塁(例えば二塁から一塁への盗塁)が認められていたり、盗塁死を記録として取っていなかったりした。日本でも近年まで守備側が無関心(盗塁を防ぐ意思なし)でも盗塁を記録していたりと、ある意味では本塁打以上に一律で通算記録を比較するのは難しいスタッツだ。

 それでもイチローがメジャー史上38人目の達成者となった通算500盗塁が偉業であることに変わりはない。さらにここへ残り約60本となったメジャー通算3000安打というフィルターも重ねれば、過去の達成者はたった6人に絞り込まれる。リッキー・ヘンダーソン(3055安打、1406盗塁)、ルー・ブロック(3023安打、938盗塁)、タイ・カッブ(4189安打、897盗塁)、エディ・コリンズ(3315安打、741盗塁)、ホーナス・ワグナー(3420安打、723盗塁)、ポール・モリター(3319安打、504盗塁)がそうで、当然のように全員が殿堂入りの歴史的名選手だ。彼らに名を連ねる日がそう遠くないという事実は、イチローの凄さを改めて感じさせてくれる。

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