【CASE4】自分の世話をしてくれた子にすべての財産を残したい

「家族の中でも特定の人に多く財産を残したい」、あるいは「この人にだけは財産を残したくない」と考えている人は少なくありません。元教員のEさん(72歳・無職)には妻と娘3人がいます。妻とは、妻の不貞が原因で別居中。二女夫婦と同居しています。「妻に財産を残したくない」「自分の身の回りの世話をしてくれている二女にすべての財産を残したい」と考え、遺言書を作成しました。

 付言事項に妻との関係、娘たちにかけた教育費の格差について記載しました。Eにさんは遺言作成の4ヶ月後に死亡。妻と長女から二女に対して遺留分減殺請求がなされましたが、Eさんの死亡から7カ月後に合意して解決しました。

【CASE5】夫の相続で仲違いした長男に財産を残したくない

 Fさん(67歳・無職)は夫に先立たれ、一人暮らし。子が2人(長男、長女)いますが、長男とは結婚を機に関係が悪化。夫が亡くなったとき、自分の遺産の取り分を強硬に主張する長男のせいで遺産分けの話し合いがつかず、苦労しました。以来、長男との関係が悪化し、絶縁状態になっています。自分の死後は長女にすべての財産を残したいが、子どもたちの間で相続争いが起こることが予想されるので、Fさんは「争続」防止のため遺言を残しました。遺言書には、遺留分減殺請求の対策も記載しました。

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より

竹内行政書士事務所代表
行政書士・竹内豊

たけうち・ゆたか/中央大学法学部卒業後、百貨店勤務を経て2001年から現職。遺言・相続を専門として活動する。著書に『親に気持ちよく遺言書を準備してもらう本』(日本実業出版社)、『親が亡くなったあとで困る相続・遺言50』(共著、総合法令出版)など多数

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http://publications.asahi.com/news/602.shtml