気楽に書き始めればいいが、専門家への相談も効果的(※イメージ写真)
気楽に書き始めればいいが、専門家への相談も効果的(※イメージ写真)

 元気なうちに準備を進めたいのが遺言です。でも、故人の思いが実現されない「残念な遺言書」では意味がありません。大事なポイントを押さえ、残された家族も納得する「スキのない遺言書」をつくるにはどうしたら良いのか? 週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)に掲載した、「遺言を気軽に残せる5つの心得」を紹介します。

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 遺言を残すうえでもっとも大切なことは、自分の希望が確実に実現する「スキのない遺言書」を作成することです。

 言うまでもなく、遺言書をつくる目的は、自分の希望を遺言書に記すことではなく、遺言書に記した内容を自分の死後に実現させることにあります。

 ところが現実には、遺言書を書き上げただけで安心してしまう人が大半で、「その内容が確実に実現されるか」という観点から見ると頼りない「残念な遺言書」が非常に多いのです。

 遺言書が効力を発揮するのは、自分が死んでからです。当然、遺言書に記した内容が実現されるのを見届けることはできません。だからこそ、しっかりと吟味して「スキのない遺言書」を残さなくてはいけないのです。

 そこで、この章では相続トラブルを未然に防ぎ、自分の思いが実現する遺言書を作成する秘訣を紹介します。

「いずれ遺言を残そう」と思いながら、行動に移さずに頭の中で「遺言書を書かなくては……」と堂々巡りをしていると、プレッシャーが増すばかりで精神的にもよくありません。まずは最初の一歩を踏み出すことが肝心です。

 遺言書は、紙とペン、印鑑さえあればいつでもどこでも書けます。納得のいく内容になるまで、何度でも書き直しができます。

 まずは気楽に、自分の死後の財産の残し方について、現時点で心に決めていることだけを書いてみましょう。後で自分の気持ちが変わったり、ほかの財産の残し方を決めたりしたら、新たに遺言書を作成し直せばいいのです。

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