そして、スペースの広さで最強クラスと言えるのが、海部観光が運行する高速バス「マイ・フローラ」だ。こちらもパーテーションで区切られており、カーテンを閉めればほぼ個室状態になるのだが、驚くべきはその個室の広さだ。通常の4列シートの場合は前後のシート間隔が70~90センチ程度のものが多いが、マイ・フローラは132センチ。個々のスペースがかなり広い。それもそのはずで、マイ・フローラは最大約50席を配置できる車内に12席のみを設置し、贅沢にスペースを使っているのだ。

 さらに座席もソファのようなしっかりとした作りで、座面の幅は70センチ。飛行機のビジネスクラスでも座面幅は50~65センチというところが多いので、それよりもさらにゆったりとした作りになっている。リクライニングは最大155度と、こちらも他のバスではなかなか見られない深い角度だ。

 また、座席を区切るパーテーションには徳島県産木材を使用。というのは、このバスが東京―徳島間での運行であるからだ。大きなソファとあわせて、木目の壁がホテルのラウンジのような雰囲気を醸し出している。バスとは思えないリラックス空間で移動することができそうだ。四国に旅行する際は、ぜひ利用してみたい。

 これまではその安さで注目されることが多かったが、設備面もかなり充実してきた高速バス。時期にもよるが、こうした豪華バスはチケットが1万円前後になることが多く、決して安いとはいえない。しかしこれだけハイクラスなシートを、飛行機や新幹線で確保するとなるとかなりの額になる。それを考えれば、バスはやはり「コスパがよい」交通機関と言えるだろう。バスタ新宿開業を機に、改めてバスの贅沢旅に注目してみてはいかがだろうか。(ライター・横田 泉)