夏季の利用者が多いというこちらの施設、その最大の理由は、学校の眼前に広がる美しいビーチだろう。校舎から気軽に水着で行って帰って来られる、このあまりにも近い砂浜には、誰しも興奮してしまうはず。木造校舎のノスタルジックな雰囲気と海水浴を楽しめるこの施設は、夏の思い出作りには打ってつけだ。

 さらに「廃校にして温泉」という、一風変わったハイスペックな学校もある。静岡県は西伊豆町の「やまびこ荘」だ。ここは校舎の玄関を入ってすぐのところに、天然かけ流し温泉が楽しめる大浴場がある。ひのき風呂と岩風呂があり、大人8人ほどの入浴が可能な広さ。温度は39度とややぬるめで、ゆっくりつかるのにはちょうどよさそうだ。

 これだけでもかなり異色の廃校だが、このやまびこ荘のもっとも大きなポイントは、温水プールならぬ「温泉プール」があるという点。学校の25メートルプールに温泉を引き込んでためているのだ。まさに「泳げる露天風呂」ともいえるものだが、一応プールなので水着の着用は必須。シャンプーやせっけんなども使用不可だ。しかしこれだけのスケール、そしてこの独特のロケーションの温泉は、他ではなかなか見ることができないだろう。

 やまびこ荘の校舎内の温泉と温泉プールは、宿泊客は無料で入ることができる。日帰り入浴も有料で受け入れているので、温泉だけ楽しみたいという人も訪れてみてはいかがだろうか。学校で入浴という、他ではできない不思議な体験ができる施設だ。

 家族旅行はもちろん、ゼミ合宿や社員研修など、あらゆる世代が楽しめそうな「泊まれる学校」。ホテルに泊まる旅行に飽きたら、こんな変わった宿泊施設を利用してみるのもいいかもしれない。(ライター・横田 泉)