だが前田はこの一発にも動じなかった。続く4回は連打で無死一、二塁とされたが、これはボテボテのゴロが相手に幸いしただけ。後続を併殺打などで切って得点を許さなかった。7回には1死一塁からジャイアンツ先発のジェフ・サマージャのバントが小フライになると、無理にキャッチに行かずワンバウンド処理。すかさず二塁へ送球してダブルプレーにする冷静さも見せた。

 終わってみれば、初回の2四球以外は敬遠での1四球のみ。身上のコントロールは中4日でも乱れることなく、強打のジャイアンツ打線をソロアーチ1本による1失点に抑え込んだ。主審の判定への適応および修正がうまくいった証だろう。

 またこの日は前述のようにグランダルとのバッテリーだったが、彼と組んだのはレギュラーシーズンではこの試合が初めて。それでも失投による一発以外は危なげなかった。ドジャースの正捕手は過去2試合でバッテリーを組んだA,J.・エリスだが、連戦が続くメジャーでは正捕手を数試合に1回は休ませるのが通例。誰がマスクをかぶろうが自分の力を発揮するのも投手に求められる大事な資質だ。ここでも前田は適応力の高さを示してみせた。

 メジャー3試合目にして、数々のハードルを着実に乗り越えている前田。今後は中4日が続いた場合でも高いクオリティをキープできるかが課題となる。だがこの日のピッチングを見る限り、大崩れの心配はあまりなさそう。4月の残り登板は順当ならばあと2試合。そこでも結果を出し、現時点で2勝0敗、防御率0.47という好成績をさらに上積みできれば、月間MVPも十分に狙えるはずだ。