【Q2.どんな症状に効果があるの?】

 東邦大学医療センター大森病院東洋医学科を受診した患者の中で、最も多い症状は倦怠感でした。検査では異常が見つからないために、西洋医学では治療法がない症状に漢方は効果的です。

「東洋医学で考えられる倦怠感は、エネルギー不足、緊張状態の持続、冷え、気分の落ち込みなどさまざまな原因があります。エネルギー不足が原因であればそれを補う漢方薬を処方するなど、原因を突き止めることで治療の手立てがあるのです」(田中医師)

【Q3.漢方で体質改善できるって本当?】

 漢方医学では、西洋医学のように一つの器官の不調を重視するのではなく、からだ全体のバランスを整え、病気にならないからだをつくることを治療の最終目標としています。そのため、バランスを崩している原因を突き止め、それをとり除く治療を行います。つまり体質改善を推し進めるのです。

 漢方治療は漢方薬を服用するだけではなく、養生法も重要な治療です。運動や休養や食事といった養生法を実践することで、たとえ漢方薬を中止したとしても症状が再び現れるのを避け、健康な状態を維持することができるのです。

(取材・文/中寺暁子)

※週刊朝日ムック『正しく付き合う漢方2016』より抜粋

東邦大学医療センター大森病院 東洋医学科診療部長
田中耕一郎 医師

北海道大学教育学部、富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒。自治医科大学病院一般内科を経て、東邦大学医学部東洋医学科入局。吉祥寺東方医院院長などを経て現職

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http://publications.asahi.com/news/598.shtml