この日の田中のピッチングで注目すべき点は、87球で降板となったことだろう。本人は試合が進むにつれて制球が乱れがちだったことが降板理由ではないかと分析しており、ジョー・ジラルディ監督も「もう限界だったと感じた」と認めている。コレアにホームランを浴びた球も確かに失投だった。

 100球に満たない球数での降板は物足りなく感じるが、ジラルディ監督はスライド登板の影響で当初の中5日で田中を先発させていくシーズン序盤のプランが崩れたことも考慮したかもしれない。過去2年続けて故障に泣かされた田中の耐久性への不安がぬぐい切れていないということもあるだろう。このあたりは実戦を通じて信頼を勝ち得ていくしかない。田中にとって今後の大きな課題のひとつだ。

 重要な課題はもうひとつある。それは一発病の克服だ。昨季は24試合の先発で25被弾。1試合で3ホーマーを浴びたことも3回あったように、日本時代は無双に近かった田中もメジャーでは絶対の支配力を発揮するには至っていない。もっとも相手に力負けというよりは、田中自身に問題がある面も否めない。この日にコレアに打たれたボールはスプリッターが高めに抜けたものだった。

次のページ