得意のひねり技から始まるゆかの演技で、白井は全てのタンブリングをミスなく演じ切り、会場を沸かせる。ラストのタンブリングまできっちり決め、笑顔でガッツポーズを披露した。得点は16.500点。上位陣のゆかが15点台だったことを考えると、やはり圧倒的な点数だった。

 今回の決勝では練習してきたことが出せたという白井。演技後は「ゆかが終わった時点で、自分の力は出し切れたと思いました。結果はびっくりしたんですけど、内容にはびっくりしていないです」と話した。

 一方で準優勝とは言え、優勝の内村とは点差が1.6点。その小さくない距離感を白井も感じているようだ。

「航平さんはもちろん、上位陣には加藤さんや田中佑典さんら、すごい選手がたくさんいるので。今回はたまたま勝てただけなので、自分は目の前の課題をひとつひとつクリアしていきたいです」(白井)

 とはいえ、これまで特定の種目に強い「スペシャリスト」の印象が強かった白井が総合得点でここまで食い込んだのは大きい。オールラウンダーとしての成長にも期待したい。

文=横田 泉