代表デビュー戦となった際は90分間プレーして無難な守備をみせたものの、メキシコの攻撃に迫力がなかったため、この1試合で評価を下すのは時期尚早と言わざるを得ない。テストマッチは所詮、テストマッチに過ぎないからだ。U-23日本代表は4月上旬に国内キャンプとJクラブとのテストマッチ、さらに5月にも親善試合を組む。その後はフランスで開催される国際大会に参加する予定だが、際を国内キャンプに呼べるのかどうか。彼以外にもバックアップ選手を探すことが手倉森ジャパンの急務と言えるだろう。

 最後にこの試合の収穫を上げるとするなら、勝ったことはもちろんだが、久保と南野の海外組が中島や遠藤、豊川ら国内組との連係がスムーズになったことだろう。特に決勝点は、遠藤のインターセプトから中島、久保とタテに素早くつなぎ、南野の飛び出しから完全にメキシコDF陣を崩して奪った見事なゴールだった。

 ただし、冒頭にも書いたようにメキシコは強かで狡猾な本来のメキシコではない。くれぐれも、前回王者のメキシコを倒したと錯覚しないことだ。

サッカージャーナリスト・六川亨【元週刊サッカーダイジェスト編集長】)