甘利明経済再生大臣が、秘書が建設会社から多額のカネを受け取り、適正な処理を怠っていたことを認め、大臣を辞任した。今後、法的に追及される可能性もある。

 小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』では、毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている。政治家はどんなおカネを受け取るとアウトになるのだろう? 本誌より紹介する。

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■甘利大臣辞任の真相は?

 甘利明経済再生大臣と秘書が建設会社から多額のカネを受け取っていたと、雑誌の「週刊文春」に書かれ、甘利さんはそれを認めて1月末に大臣を辞任した。難しいTPP(環太平洋経済連携協定)交渉を担当して、安倍晋三内閣の重要人物だったから、みんなびっくりしてしまった。

 それはいったい、どんなおカネなのか。記事によると千葉県白井市にあるその建設会社の敷地が都市再生機構(UR)という独立行政法人がつくっている道路にひっかかることになり、両者の間で補償交渉が行われていた。建設会社の担当者は、URからできるだけ多額の補償金を得るために、甘利さんの事務所を訪ね、口利き(間に入って話をまとめること)を依頼した。その会社は2億2千万円の補償金を得て、お礼に秘書に500万円、甘利さんに50万円を2回、計100万円を渡したという。2013、14年のことである。

「えっ!? 政治家が『口利き』をして、そんなおカネをもらったらいけないんじゃないの?」とキミは思うだろうね。そう、国民から選挙で選ばれた政治家は、行政機関に影響力がある。何か国民みんなの役に立つことを頼むとか、市民の不満を伝えて問題点を解決するとかならともかく、影響力を悪用して誰かの個人的なもうけのために動き、裏で自分も私腹をこやしていたならば、賄賂の罪に問われる。真相はまだわからないが、あっせん利得処罰法に触れる可能性がある。

 たしかに政治にはおカネがかかる。だからみんなからの善意の政治献金ならば、ちゃんと都道府県の選挙管理委員会に届ければ問題ない。だけど甘利さんの秘書に渡った500万円のうち300万円は届けられていなかった。「政治資金規正法」違反の疑いもある。

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AERA dot.編集部
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