原発事故により、原発のある福島県双葉郡の子どもたち約1万人が避難に追い込まれた。事故から5年。昨年、ふるさとに新しくできた、県立の「ふたば未来学園高校」に入学した子どもたちの決意とは? 小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』4月号に掲載された彼らの様子を紹介する。

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 自分が通っている学校がある日突然、閉鎖され、同級生や友達が全国に散りぢりになってしまう。そんなことって、想像がつくかな。

 東京電力福島第一原発の事故のときに、それが現実に起きたんだ。経験したのは、みんなと同年代の子どもたちだ。

 福島第一原発がある双葉郡には原発事故の前、約6400人の小中学生がいた。その全員が家族と一緒に急いで避難し、最初は郡外の自治体の体育館などで寝泊まりした。ほとんどの大人も、避難したときは「1カ月ぐらいで自宅に戻れるだろう」と思っていた。だから、みんな自宅から持ってきたのは貴重品と着替えぐらいだった。自宅に当分、戻れないことがわかると、親戚や知り合いの家に泊まらせてもらった。でも、そこも長くはいられないから、その後、仮設住宅やアパートなどに移ったんだ。

 昨年4月、福島県立ふたば未来学園高校に入学した152人は、原発事故が起きたとき、まだ小学5年生だった。「避難」といっても、1回引っ越しただけですんだ子はわずかで、5回も転校をした生徒もいる。

 みんなの中でも、転校を経験した子は、新しい学校で心細くなったんじゃないかな。

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AERA dot.編集部
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