注目の阪神、巨人の新監督 (c)朝日新聞社
注目の阪神、巨人の新監督 (c)朝日新聞社

 セ・リーグは今季、3人の新監督(巨人高橋由伸=40、阪神金本知憲=47、DeNAラミレス=41)が就任し、全6球団の監督が40代と若返る。リーグの全監督が40代以下となるのは、80年セ・リーグ(巨人・長嶋=44、阪神・ブレイザー=48、中西太=47、広島・古葉=44、中日・中=44、大洋・土井=47、ヤクルト・武上=39)以来36年ぶりとなる。

 昨年は就任したばかりで、リーグ最年少の真中満監督(45)率いるヤクルトが、2年連続最下位から一気に優勝した。シーズン中盤から2番に巧打の川端慎吾を置いた。送りバントが定番となりがちな打順だが、川端には犠打をさせず、リーグ最多安打を獲得させた。外国人投手3人(ロマン、オンドルセク、バーネット)を救援に置き、勝ち試合を徹底的に拾った。外国人投手3人が同時に登板50試合を超えたのは史上初。従来の「常識」にとらわれない、フレッシュな戦法で下克上に成功。今季も新たな指揮官たちが、どこまでチームに変化をもたらすか注目だ。

ルーキー高山ら若手に期待かかる

 オープン戦では11年以来、5年ぶりに阪神が優勝した。金本新監督は就任早々から「野手でレギュラー確定はゴメス、福留、鳥谷だけ」と明言。この競争宣言に結果で応えたのが、高卒3年目を迎えた横田慎太郎、明大で東京6大学リーグの安打記録を更新したルーキー高山俊の両外野手。1軍経験がない2人が見事に打率ランキングで3位(3割9分3厘)と8位(3割2分7厘)に入り、開幕スタメンを確実にした。金本監督がスローガンに掲げた「超変革」を体現した。オープン戦とはいえ、昨年まで3年連続で優勝チーム(13年巨人、14、15年ソフトバンク)が公式戦でもリーグ制覇。優勝候補の筆頭に挙げられる。

山田の活躍が連覇の鍵か

 昨季王者のヤクルトは、13年ぶりのトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成した山田哲人が、今季も打線の中心だ。トリプルスリーは山田と柳田悠岐(ソフトバンク)で9、10人目だが、本塁打王と盗塁王の同時獲得は史上初。スピードとパワーを兼ね備える規格外の男が、記録をどこまで伸ばせるか。

高橋新監督、ケガ人続出で船出迎える

 野球賭博問題などで揺れた巨人は、故障者の復帰時期が鍵になる。高橋新監督は、昨季一塁に回った阿部慎之助の捕手復帰を決断したが、開幕直前に右肩痛とみられる体調不良で2軍落ち。阿部の有無で打線の迫力が段違いとなるだけに、悩ましい。また、昨季はリーグ最高勝率(13勝3敗)に輝いたマイコラスも右肩痛で開幕絶望。ともに復帰時期は未定で、新監督の船出は暗雲がたちこめるが、打開できるか。

エース前田の穴を埋めるのは?

 広島は、昨季リーグ最多勝の主戦、前田健太がドジャースにポスティングで移籍した。前田の15勝分を穴埋めする必要があるが、次世代エース候補筆頭と目された大瀬良大地が右ひじ痛を発症。日米通算200勝へあと7勝の黒田博樹は球界最高年俸の6億円で残留したが、ルーキー2人を開幕ローテーション入りさせなくてはならない。苦しい台所事情だ。

ラミレス新監督の采配はいかに

 ラミレス新監督は現役時代、本塁打後の派手なパフォーマンスで目立っていたが、実は緻密なことで知られる。日本では米国と異なり、バッテリー間において捕手が主導権を握っていると知るや、捕手のリードを徹底研究。球種の読みを鍛え、外国人選手で初の通算2000安打を達成した。監督に就任すると、捕手にベンチから球種のサインを伝達。内角攻めの有用性を捕手に与えている。

ベテランが抜け、新たなチーム作りのシーズン

 中日は選手兼任だった谷繁元信監督が、采配に専念する。オープン戦終盤まで抑え投手が決まらず、打線も12球団最少の38得点に終わった。昨年限りで谷繁だけでなく、山本昌、和田一浩、小笠原道大、川上憲伸と一気にベテランが引退または退団。チームが端境期を迎えているだけに、苦しいシーズンになりそうだ。

文=日刊スポーツ・斎藤直樹