仕事でも人と違った成果が求められ、コモディティ化しないためにはどうするべきか、というのがこれからを生き抜く条件のように言われる昨今だが、皮肉にも多くの人が、意思決定において、同じような情報を基に同じような結論を出している。

「それを打開するカギが図書館なんです」

そう語る奥野氏は、図書館の効果を3つ挙げている。

【1】ラボラトリー:図書館にあるたくさんの資料を使って、欠けている知識を補ったり自分の得意分野を開発したりする

【2】シンクタンク:重要な場面での判断や仕事での意思決定をするために、ネットだけでなく図書館を使って穴のない情報収集をする

【3】ゼミナール:職業人としての価値を維持したり、自分の可能性を広げていくために、森羅万象をカバーする図書館で学び続ける

 キーワードは「検索より模索」だ。ネットで答えを探すのが一番効率的だと思われているが、現状を打開するようなアイデアや発想は、効率を追うだけでは出てこない。

 とはいえ、図書館はちょっと難しいという声もあるだろう。そんな図書館ビギナーに向けて、奥野氏は3月に出版した『図書館「超」活用術』(朝日新聞出版)のなかで、「ぶらぶらブラウジング」「山積み法」「棚見」などのテクニックを紹介している。図書館の分類法や資料の探し方がわからない人でも「いきなり図書館が使える」というわかりやすいノウハウだ。

 さらに、ネットにはない図書館の「リアルな場」としての力も見逃せないという。

「都道府県立図書館や市民解放している大学図書館などもオススメです。ちょっと利用してみるだけでも、頭がよくなったような気がして、いいものですよ」

 この春、まずは地元の図書館に足を運んでみてはどうだろうか?