奥が「幕の内弁当」で手前が「特製パリ・リヨン弁当」
奥が「幕の内弁当」で手前が「特製パリ・リヨン弁当」
駅弁の販売ブースは日本の駅のそれと同じよう
駅弁の販売ブースは日本の駅のそれと同じよう

 3月1日から4月末までの2カ月間、日本の駅弁がパリのリヨン駅で販売されている。

【パリ・リヨン駅での販売の様子を写真特集で】

 グルメの国フランス。しかし、移動時の食事にはきわめて無頓着で、駅構内にはサンドイッチ屋と簡易スーパーしかなく、車内販売は冷えすぎたパサパサのサンドイッチ、電子レンジで温めるパスタ、貧弱なサラダボウルにスナック菓子くらいしかない。日本の駅弁を知る筆者としては値段が多少高くてもいい、長い道中を楽しむための選択肢の広さとと味の改善を願っていた。

 かわいらしいパッケージや具材の取り合わせが日本らしいと、近年パリでも日本のお弁当文化は注目を集めている。そこへ、駅で買うことができ、かつ地方色豊かな「駅弁」が登場。駅弁が販売されているパリ・リヨン駅は、フランスの新幹線TGV(テージェーベー)の発着本数がフランスで一番多いのパリの主要駅。近年改装されモダンなイメージになった待合ホールの中央に設置された売店は、和風の店構えが通りかかる乗降客の利用者の興味を引いていた。

 1日の開店初日には、初めての駅弁販売を知ったフランス在住の日本ファンが行列をつくった。日本文化と和食が大好きという女性2人によると、包装の美しさと、いろいろなものを一度に食べることができるのが弁当の魅力とのこと。「これまでは電車で旅行をする時は、自宅からサンドイッチやサラダを作って持ってきていたが、これからは駅弁が買えるようになり、旅行の楽しみが増えてうれしい」とも。

 和食ファンの50代の男性も「売店はみんなが見えるところにあるから、今まで和食を食べたことのない人たちも、好奇心から買うと思う。和食文化の普及に貢献するよ。パッケージもかわいいしね。」と駅弁の未来に太鼓判を押した。

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